2011年8月28日日曜日

お祭りから一週間が経って

沖縄長寿のお茶、ぎん茶を飲みながら
大きな嵐が去ったような日々を静かに振り返っています。 当日の朝、6:30起床
まだ薄い朝の空気が肌をひんやり包み込む中、お祭り会場へ急ぎました。
上の看板は、昨年も看板作りをお願いした学校の先生であり近所のおじさんTバイケ作成。
もとのデザインは隣村の村落隊員Mちゃんのアイディアです!


●ボズウイハプニング●


お祭り前日19日の午後、三村揃ってボズウイを建てる予定でいました。私の村、アルシュ村は三村の中でも一番小さく人口も少ない。その為か、大きな、装飾の付いているボズウイがほとんどないのです。なのでだいぶ前から隣村ケゲシュから一つ大きなボズウイを借りる事で話はまとまっていました。ところが・・組み立て始めると、貸してくれるはずの家族がいきなり「やっぱりこんな古いボズウイは恥ずかしくて人前に出せるこができない、今すぐ中止してくれ」と!!


いやいや、お祭りは明日なんですけど> < ・・キルギス人は、「ウヤット(恥)」を心底恐れます。他人と比較したり、人にどう思われるか、それを物凄く気にする人種であります。


予定していた前日のスケジュールも思うようにいかず、もう一度村に帰りボズウイ探しから-。 学校の校長先生に何とかお願いして、男衆7人で巨大フェルト、天井のトゥンドゥック、骨組を運びこみ、アルシュのボズウイがケゲシュ村に立ったのは夕日が傾く時間。・・とにかく、良かった。間に合った!



●クラフト部門●


今年もSAORI商品はたくさんたくさん作るよう頑張りましたよーー!なにせ、村人には20%ほど安く提供しようという昨年同様のプランもありました。村で、小さな子供、女性達、男性もSAORIのグッズを持ち歩いている光景を目にすることが何よりも嬉しいからです。 太陽の光が差すような夏の一日、お客さん来てくれるといいなぁ・・!と首都から2日前に戻った我が家のGエジェと、妹のグルジャズ。 ナリン市内からはお土産屋さんも(上:Kyrgyz Uz、下:Naryn CBT)クラフト部門に出品、お店を構えるだけあってさすが商品が大きいですね。全て手で作られたフェルトの伝統絨毯です。 ボランティアの中からも、現地キルギス人からも大人気のタスマ村ナチュラル石鹸。100個あったという石鹸が最後には5個だけ残って、後全て完売だったそうな。アザマッツ! こちらも同じくナリン市内に工房を構えるナチュラル素材のロウソク屋さんの商品。新ナリン組のNちゃんが販売を担当してくれました。ここのロウソクの香が抜群で、色もデザインもナイス、何より10cmほどのロウソクが40時間ももつのです。


このビジネスを始めたのはイギリス人のクリスさんご一家。もともとエンジニアで科学専攻だったから材料の調合くらいは分かっていた、というクリスさんが今後ロウソクビジネスは現地の人に、ご自身はツーリストの方にしばらく力を注ぎたいと言っていました。 ビシュケクやイシククル州からお祭りに参加してくれたJOCVや、他多くの日本人の皆さまありがとう。 こちらは村のおばちゃん・おばあちゃん達の手づくり雑貨たち。





今回のお祭りでクラフト部門を担当して、本当に良い出会いがたくさんありました。村では女性の仕事がほとんどなく、彼女たちも家で家事をしている主婦ですが、アルトゥン・コル(=金の手)、まさにその通りなのです。

靴下、絨毯、座布団、フェルト雑貨、彼女たちの決して豪華ではない、シンプルで質素な家の中から生まれる、それはそれは可愛らしい雑貨達-例えばこれはケゲシュ村から参加のジルドゥスエジェの作品。下は鍋つかみです!材料はもちろんこの家の羊の毛。このミニシュルダックも良い!いかにもキルギス模様、という感じ。こちらはジャイロークルエジェの座布団カバー。

日本に持って帰る予定のお土産が、半端じゃなくなるような気がします。荷物制限さえなければ・・お金がたくさんあれば・・全部持ち帰りたい!こちらは、アルシュ村木工職人のシェコーバイケ

木材で色々な物を作ります。この人の”サンドゥック”が有名で、お嫁に行く娘に、衣類や布団などを入れてもらせる為の箱です。実物は幅1.5m、高さ60cmくらいの大きな物。お祭りにはサンドゥックの子供(ミニマムサイズ10cm×6cm!)を作って持ってきました。


昨年よりもだいぶグレードアップした舞台では皆、衣装もきちんと揃えて、openingのコンサートもそれなりに様になっています。


当日は、きっと300人近くの来場客。

お客さんを迎える私たちも、予想をはるかに超える大勢の来客に驚き、手が回らず、嬉しい嘆きとなりました。






●馬競技部門●


昔は、近隣の村対抗で毎年秋になると、どこからともなく少年たちが集まり、馬のゲームをして遊んでいたという。最近は、村同士でそういった行事もいつの間にか消え、このお祭りがきっかけで再び騎馬民族キルギス人の血が騒いだ日となりました。 ウラック・タルトゥシュ 、子羊の頭を切り落とし、その体を取り合いゴールに入れるという、聞いただけではなんとも残酷なゲーム。これがまた盛り上がるんですよ


そして馬に乗ったキルギス人男性たちのなんとも勇敢な姿!

子供からおじさんまで、観戦する人たちの目が生き生きしてたと。あんなにきらきらした目は始めたみた、と近くで見ていたJOCVが感激していました。


アルシュ村から馬競技を担当するはずだったアマンの大手術の為、代わりにリーダー役を努めてくれたジク。ありがとう。

嬉しい知らせはお祭りの後に。10月に、村人の力でまた前のように馬競技村対抗戦を復活させよう、と!!村人から500円ずつ集めて開催しようと、そんな声が上がっているそうです。

これこそが、きっと一番聞きたかったことなのかもしれない。




今回のお祭りは、その名も「ウントゥマック祭り」(友好祭り)でした。

JICAへ支援経費を一銭も要求せず、三村からスポンサーを募って開催したのです。スポンサーといっても、企業や富豪がいるわけではありません、村の学校の先生達、お店のおばちゃん、トラックの運転手さん、など。200円から、多い人は4000円まで。


始めは、何の為の祭りか、なぜ日本人はお金を支援しないのか、などチクチク刺さる言葉を浴びながら、お願い文やプログラムを持って家々を回り、なんでこんな事してるのかなーなんて思うことばかりでした。それでも、先にも述べた通り、他の人の動きを気にするキルギス人のパワーが化学反応を起こし、笑 最終的にドボル・アルシュ村はそれぞれ25000円、開催村ケゲシュはなんと50000円も集めてしまいました!Power to the people!!
ボズウイに用意されたご馳走、お祭り用にと着飾ったおじいちゃん、おばあちゃん達。


劇場や、お祭りって小さい頃からこういう雰囲気が好きでした。

非日常的ななんとなく豪華な、わくわくする空間-

昨年のアルシュ祭りでは、準備と片付け、お客さんの迎え入れに大忙しだったSAORIメンバー。集合写真を撮る事もすっかり忘れていたので、今年こそは必ず撮ろうね、と約束していました。

10人の大切な仲間達。


今年のSAORIコーラス隊は「今日の日はさようなら」を合唱。練習を兼ねて、と機織りに向かいながら日本の歌を口ずさむ姿は、なんとも微笑ましかったです♪こちらは、クラフト部門で私からMVPをあげたいサルイエジェ。


例の、お祭り参加を一人で決め、靴下をせっせと30足も編んでしまったエジェです。当日も売り上げ好調、この日亡くなっただんなさんとの結婚記念日だったというエジェに、主催側から表彰状を。


「ナリギーザ、一人選んでちょうだい!」とのお願いに、迷いもなくサルイエジェに表彰状を送りました。

翌日、エジェの家の行くと壁の高い高い所にこの表彰状が。

本当に嬉しかったの、名前を呼ばれた時全く信じられなかったのよ、と半分涙目でお礼を言われて、こっちまでじーんときてしまいました。


こちらは、村のマルシュの運転手さんテミケバイケ。間違いなくこのバイケには当日のMVPを渡したい気持ちでいっぱいです。


お祭り前日の、ボズウイ事件の時にも、嫌な顔一つもせず村を行き来して、一緒にお願いに行ってくれた、当日も予定外の運送にも、快く協力してくれた本当に心の広いバイケです。

受付で踏ん張ってくれたTちゃんと、Hちゃん


外国人来客の宿泊、食事、交通などの手配を全部取りまとめてくれたBちゃん。

馬競技の責任者Aも、当日は全体も見て走り回ってくれました。閉祭式の、三人で披露できたコムズとチョポチョール(陶器笛)の演奏は夢の共演、有難う。

今年は、ナリン組の頼もしい隊員に助けられ、支えられたお祭りでした。


三人寄れば文殊の知恵、とは言ったもので、一人では絶対に叶わなかったこの大きな企画が、それぞれの知恵と力を出し合って、実現されたのだと今年は特に強く思いました。

本当に、心からありがとう。


いつも 近くで支えてくれる私のキルギス家族、 お祭りを成功に導いた三村の村民の皆さんのパワーと可能性に、今後も大いに期待しています。


このお祭りの準備の大変あ時には あー早く終わってくれーって思いました。疲れたーって。

でも、反面、終わってほしくもなかったのです。

二年間の活動の、集大成でもあったこの行事が終わる、ということは活動の終了をも意味していたから。

こうしてblogを書くのも、もう残り数回となりました。


まだまだSAORIのジャーマット内でやり残している仕事があります、それをきちんとまとめて、ブイユルサ(願いがこもった「きっと」)、来年アルシュに来る三代目SAORI隊員に引き継ぐ事をまとめて、そこで私の二年間の任務が終了です。


感傷に浸るにはまだまだ早い、明日から始まる一週間に備えるぞ。

心を強く、大きく息を吸って。

空を飛ぶ鳥のように 自由に生きる

今日の日はさようなら また会う日まで

信じあう喜びを 大切にしよう

今日の日はさようなた また会う日まで

また会う日まで